至高のコトコトを求める自作キーボードの旅。何度やってもシステムが認識しない。多分ミスってるのは僕じゃなくて…トラブル続きの40%キーボード設計、はじまるよ。
物理ボタン同好会のぶつりぼです。キーボード沼にずぶずぶの僕。新しいキーボードを作っていくよ。
今回はどうしても使ってみたい筐体、IDOBAO ID42を軸に40%キーボードを作っていきます。コンパクトで持ち運びにも長けるキーボード、見てみたいじゃん?
ネタバレだけど、この先起こるトラブルを一覧化しておくよこんだけトラブったの?マジ?

idobao ID42を中心にパーツを選定しよう
さて、やることが決まったらパーツの選定作業です。
筐体の選定:idobao ID42
今回まずスッと決まったのは筐体。IDOBAOのID42。

余計なキーを削った40%の非分割型キーボード。
右手に十字キーをすべて残したままでの40%化なので、他のキーはかなりかつかつ。これ、しっかりレイヤーを考えないと難しいぞ…?
フルアルミ製で質感が良く、揺れず、独特の打鍵音が響き渡るのが特徴とのこと。今からもう楽しみである。

QMKやVIAにもしっかり対応しているとのこと、この記載がちょっとした地雷。

キースイッチの選定:KBdiy Holy Pandaライク
続いてキースイッチの選定。
キースイッチは僕が自作キーボードに興味を持った最初期から名前を知っていて、一度使ってみたいなと思っていたキースイッチの「Holy Panda」
これ、原点は、2種類のキースイッチ(Halo Clear/Trueのステム,Invyr Pandaのハウジング)からパーツをとってくっつけたキメラスイッチという特殊な出自を持つらしい。
今回はそれを再現したHoly Pandaライクと呼ばれる製品の一つを用いる。

日本国内で入手したい場合、遊者工房さんちでFaker社のモデルを1キー当たり100円くらいで買える。
今回僕が買うのはKBdiy社がリリースしているHoly Pandaライクだ。

実はこの企画、10月から進めていた。パーツを買ったのは11月そう、中国通販最大のセール期間、独身の日だ。アリエクもお祭り騒ぎになり、あらゆるものが破格になる。直後にブラックフライデーが来るため、11月はガジェット好きのお財布を破壊するためにある。
話を戻すと、これ、セールの恩恵で110ピースで1095円というお買い得価格で買えてしまった。1つ10円と言われてしまうとダメ元で買ってもお釣りがくる金額である。
このモデルには、スイッチの荷重の選択肢として、55グラム、62グラム、67グラムがあったが今回は55グラムをチョイス。

キースイッチの選定:ノーブランド 135キー キーキャップ
最後にキーキャップ。普段は白いガジェットばっかり買っているので、お部屋の差し色として色を加えてみたい。
また、ID42には2.25u、2.75uという比較的レアなサイズが親指部分に使われているためこれを含むセットだと嬉しい。

これもアリエクで解決。キーボードの上の段から下の段にかけ、パープルからヴァイオレットのなめらかなグラデーションになるモデルだ。
無刻印ではなく、文字がキーのサイドにプリントされているデザインなので、多少実態とあわないところが発生するが、まあそれはよくあることだろう。

ということでパーツが揃ったコストは、1095円,13797円,1808円で合計16,700円

高品質な筐体が金額の大半を占めており、自作キーボード的にはどちらかというとお買い得価格にあたる金額にまとまった
これを安いと感じちゃうところがキーボード沼の末路だね
IDOBAO ID42を開封
独身の日セールもあり発送がかなり混み合っていたが、半月ほど経ってパーツがひとしきり揃った。それでは開封して行ってみよう




早速飛び出してきた筐体。このケース、あまりにも冷たくて重すぎる。笑っちゃった。後で正確に計測するが、たぶんすでにswitch2くらい重いのではないか。
適当なことを言うが、書道の授業で使った硯を持った時の感覚に近い。冷たくて重い。指で弾くとコンコンという金属の鈍い音が響きます。期待高まります。

他にはキーボードの説明書が入っていたり、筐体背面を開くための六角ドライバーも含まれていました。


他にも多くの付属品があり、お買い得感があります。特にカールコードのUSBケーブルが付属しているのは意外だった。

キースイッチもやってきました。KBdiy社のHoly Panda like。
袋にばらばらっと詰め込まれています。ちょっと品質に不安を感じるかもしれませんが、今回使った40個くらいはすべて問題なしでした。

キーキャップも届いたので開封してみよう。つや消しカラーの滑らかなグラデーションがオシャレですね。

IDOBAO ID42を組み立てよう
ここからは、筐体にキースイッチとキーキャップをガンガンはめていくお仕事。キーキャップは印字内容や色合いを見ていい感じにチョイス。

基盤設計の都合、右上2キーだけキーキャップの奥手前が逆に装着される仕様(いわゆる北向き)とのことなので注意されたし。

無事に組み立てが完了。簡単にキーを叩いてみましたが、このキーボード、良い方向にレベルが違うかも。ニンマリしつつこの後の工程に進みましょう。

忘れないうちに筐体の重さチェック。ID42本体のみの重さでは531グラム。

キーキャップ、スイッチ組み立て後の重さは655グラム。

参考までに、手元にあったHHKBが598グラム。うーん、これと比較すると持ち運び用途には厳しいね

IDOBAO ID42にvia用のファームウェアを書き込む
注意書き:ここから先はとにかく噛み砕いて書いてるため、
「厳密に言うとちがくね?」と気づいても見逃してね
さて、ここまででハードウェア面は完成したが、残念ながらまだ中身が空っぽである。
この子は現在ただの文鎮なので、キーボードとして振舞うようにファームウェアを書き込んであげる必要がある。これには3つの作業が必要。
まず、キーボードに対してvia対応のファームウェアを書き込む。これがhexと呼ばれるファイルです。

次に、キーボードの設定を行えるWebアプリ「via」に対し「今から来るキーボードはこういう人です」と履歴書を渡す作業。これはjsonという形式のファイル。

最後に、viaに対してキーボードを接続しファームウェアと身分証が一致したらキーの設定が行える。

もし、viaではなく自作キーボード界隈で現在主流なvialという先進的なシステムに対応したファームウェアなら楽だし自由なんだけど…。

ぐずっていても仕方がないので、hexとjsonを入手しに行きましょう。

キーボードに同梱されていた説明書を見ると、「キーマップ変えたいならウチのサイトにおいでよ」と書かれている。指示に従ってみたところ、そこにサイトなんてなかった。

さてどうしたもんかと困っていたところ、アリエクの製品ページに「直接データを配っているからメール連絡してください」との記載あり。早速メールを飛ばしてみましたが、メールの返事も来なかった。

さてどうしたもんかと困っていたところ、アリエクの購入者コメントに

という先駆者のアドバイスがあった。ありがとう先駆者
これを試したところ、無事にhexを送ってもらえたあれ?何か忘れてない?
無事にhexを得られたので、これをID42に書き込むところが、うまく焼けない。どうやら、Zadigというソフトウェアを用い、WindowsにID42をUSBデバイスだと認識させないといけないらしい。おーけーおーけー。これはオイラのミスだぜ。

無事にhexの書き込みが完了しました。

さて、ここまで来たら完成…というわけじゃないよね。前述のとおり、VIAを使うにはjsonのマッピングファイルが必要。すみませんカスタマーサービスさん…これも頼んだんですけどー…?
居酒屋の注文かよってくらい忘れられる
その後何通もチャットをやり取りした結果ようやく、「ああ送ってなかったスマン」と連絡がきました。焦った。
ようやく進むと思ったのもつかの間。結論から言うとそのjsonファイルを使ってもviaが認識しない。
自作経験の乏しい自分からはマジで何もわからない。パソコンの前で文字通り一日中ずっと設定ファイルを見たり、先駆者様からの情報を読み漁る日々。
ここで、ふと、キーボードとviaを紐づけるVID,PIDのふたつが間違ってないか?という点に気づく。

viaは「jsonファイルに書き込まれているVID,PIDに該当するキーボードがパソコンにつながっているかどうか」をチェックする。ただ、ID42に設定されているVIDとPIDがこれにあっていない。だからキーボードが見つからないよとなっている模様。

つまり、カスタマーサービスがくれたjsonとhexが正しくないってこと?
ここまでくるとカスタマーサービスには頼れない。自力で解決する方法を探すしかない。祈りながらjsonファイルのVID,PIDをテキストエディタで書き換える。こんな簡単な方法でうまく行くのか?結論を言うと、無事に動いた。

僕は自作歴が浅いので、こういったことは「よくあること」なのか、それとも「カスタマーサービスがぞんざいだったのか」はちょっと分からないが、高級な文鎮が爆誕する結果にならなくて本当に良かった。
IDOBAO ID42にvial用のファームウェアを書き込む
少し期間が経ってから、IDOBAO社カスタマーサービス様より
「エンジニアに頼んでvial対応のファームウェアもらってきたよ。今から送るね」
え?
あるんなら先に出さんかい!
ということで、今、僕の手元にはvial対応版のID42が置かれている。さくっと書いているが、この戦いは1か月くらい続いたので、今この子が動いているのは割と奇跡だ。

そんなキーボードの打鍵音、聴きたいよね、聴きたいよね?それじゃあやっていこうレコーダーさん、レコーダーさん、おいでませ。


打鍵音はぜひ動画版でお楽しみください!
まとめ
ということで今回は、左右非分割の40%キーボードというちょっと珍しいものの作成を行った。メリットやデメリットをを少しまとめてみると、
- 本当に打鍵音がいい
- (40%というジャンル全体の強みだが)
ほぼ手を動かさずにタイプできる - リセットボタンを押したいとき、筐体背面のネジが六角なので
六角ドライバーがないとアクセスできない
と言った感じだろうか。
圧倒的な打鍵感、小型ながらも高級感と妖しさを持ったデザインは持っていてテン上げである。打鍵音も心地よく、投稿用の動画の原稿はおおむねこれで打っている。
製品としては非常に良いものの、カスタマーサービスに頼らないとファームウェアが得られないという危うさがどうしても減点ポイントになる。
カスタマーサービスは非常に親身になって考えてくれたし、細かい相談には乗ってくれたが、事実として、受け取ったファイルをそのまま使っても何の成果も得られなかった。僕はたまたまうまく行ったものの、繰り返し問い合わせすることでショップにブロックでもされてしまったときには完全に手も足も出ない。
そもそも、説明書にある公式サイトも販売ページのメールアドレスも利用できないまま放置されており、正確な商品を買ったにもかかわらず先に進めない人が出てしまう可能性はある。ここがおすすめしかねるポイントであることははっきり言っておく。
そのうえで、そのリスクを乗り越えてでも手に入れるべき価値がある製品だということは保証する。小型サイズであることを生かして外出先なんかにも持っていきたいところだが、打鍵音がちょっと良すぎて響いてしまうのが難点である。
サイレントスイッチを使ってもう一台作ってみるのもありかもしれない。
