自作キーボードはお好きですか?キーボードを打つという行為が好き、無心でタイピングしていると落ち着く、それとも理想の文房具を求めて?キミ、キーボード沼の素質あるよ。
物理ボタン同好会のぶつりぼです。物理ボタン同好会を名乗る者、とうとう自作キーボードに手を出す。

自作キーボードをやってみたい。頭の中に理想像はあるけど、まずはそれを実現するための技術が必要です。だから今回は「はじめての自作キーボード」ということで、格安価格で組める自作キーボードを組みながら、いろいろ勉強していくよ。

僕も初心者だから、間違って覚えた情報を言っちゃうかもしれないけど、その時は教えてね。沼には優しく引き摺り込め。そして逃すな、決して。
自作キーボードって何?
キーボードは、結構シンプルな作りをしています。ボタンがあって、キャップがついていて、基盤があって…。それをパソコンに繋げばおおよそキーボードです。このうち好きな部分、あるいは全部を自身で調達することで、自身にぴったりのキーボードを作ることができます。
Q.自作キーボードってどうやるの?
ひとえに自作キーボードって言っても、カスタマイズ可能な要素は多岐にわたります。
もっとも簡単なものはキーキャップのカスタマイズ。打ち心地を変えたり、刻印された文字に変化をもたらします。わかりやすいところで言うと、HHKBの無刻印化とかかな。ある程度のルールがあるけど、指や工具で引っこ抜いて新しいものを差すだけ。日々の掃除のためにキーキャップを外した経験がありますか?それの延長線上の作業ですね。

もうワンランク難しくするならキースイッチの変更。キースイッチは文字通りスイッチ。打ち心地や打鍵感に直接関わってくるキーパーツです。基本的には本体にはんだ付けされているので、それを剥がして付け替える必要があります。はめ込み式になっている「ホットスワップ」というシステムに対応しているものであれば、えいっとひっぱるだけでスイッチが取り外せます。

この辺から本格的になってきます。次のランクは「自作キーボードキットの購入」。
専門店や有志の方が取り扱っている基盤や筐体を購入し、それに、お気に入りのスイッチやキャップをつけていくよ。「自作キーボード」って言葉を聞いてまっさきに思いつくものだね。ここからは結構ハードルが上がるのと、お金がたっぷりかかるようになるよ。「ざっくり数万円コース」になることが多いかなって印象。「有志の方がキー配列・搭載するキーの取捨選択を行い、オリジナリティのある設計をしたもの」をそのまま使えるのが強い魅力だね。

遊舎工房様には平素よりお世話になっております!

さらにランクが上がると「そもそもゼロから設計」。この域になった方は声かけてください。基板売ってください。言い値で買います。

と言う感じで、浅瀬から沼の底まで広い世界が待っています。最終目標はゼロからの自作。ゆっくり沼の底に向かいましょう。
今回のコンセプトは、「おおまかにはキットを購入し、キーキャップは自作する」と言うプランで進めていきます。まぁそれだけだとつまらんので、キーキャップは3Dプリンターで自力で設計してみましょう。
自作キーボードの基板を決めよう
まず大事なのはどんな基板にするか。これでざっくりとした方向性が決まります。
今回はあまり難しく考えず、王道をゆく左右分割40%キーボードにしました。あ、自作キーボード界はUS配列が多いです。

僕、仕事の関係でJISに特化しちゃってるからちょっと困るね
40%というのはざっくり言うとキーの数です。テンキー付きのキーボードを100%として、ざっくりテンキーなし、特殊キーなし、ファンクションキーなしが60%、さらに数字キーを削ると40%って感じです。

Q.消えたキーはどうやって打つの?
同時押しです。「Fnキーを押しながらQを押すと数字の1」みたいな紐付けを設定します。そもそもノートパソコンとかはF1押すためにFn+1とかじゃない?そう言うこと。

と言うことで今回は左右分割40%キーボードを作ります。あとはひたすら色々な記事を読み漁り、可愛いなって思った基盤を見つけるまで探し回ります。
今回はCorne V4 Cherryいう子にしました。

変な配列してるね。これ、カラムスタッガードって呼ばれます。ロウスタッガード、オーソリニア、カラムスタッガード。キーがどっち方向にずれているかって言う意味らしいよ。

と言うことで今回の基盤はCORNE V4 Cherryに決まりました。今回はハンダづけをしない想定だったので、ホットスワップ対応のこのモデルが最適。

次に、キースイッチ。今回の製品名にCherryってついていますが、これ、Cherryのキースイッチに互換性があるよ、と言う意味です。キースイッチにはすごく大雑把に分けたとき、MX CherryとChocと呼ばれるものがあり、基板によってどっちが使えるか決まります。今回はCherryのスイッチになります。


すごく大雑把に言ってます
今回は打ち心地(にこだわること)はいったん完全に置いておき、入手性が良く安価だったkeychron ミントを選択しました。初めての自作で失敗するリスクもあるため、いくつか破損しても完成まで漕ぎ着けられるものを目指します。

最後にキーキャップ。今回、キーキャップは自作します。既製品をただ組み立てるだけじゃオリジナリティーが出ませんし。良い子は料理するときはレシピ通りにやろうね。我が家には3Dプリンターがあるため、気合いで設計します。

今回は指先に一切優しくせず、ぺったんこのキャップを作ります。ということでフルメンバー揃いました。
予算の計算もしてみましょう。今回、Corne V4 Cherryはアリエクにて購入。5,000円くらい。国内で購入すると20,000円くらいするので、上手く動くのであればお買い得。

キースイッチは100個で3,000円しない。とにかく単価が安い。
キーキャップのフィラメントは1kgあたり1500円くらいで購入しているので1つ2円くらいの計算。46キーあるので、92円?この安さは自作の恩恵ですね。

ということでトータル7,000円くらいの挑戦になります。
Corne V4 Cherryを組み立てよう
早速組み立て。アリエクから例のねずみ色パッケージが届きました。はい、べこべこの段ボール。すでにケーブルとねじがお目見え。ケースに包まれた基板が登場。正直、ビルドクオリティ高くて驚いた。

側面に3Dプリンターの積層痕が見られるが、底面や前面は歪みの無い綺麗な筐体。ケース込みで4,000円程度なの、正直ビビります。

背面に貼ってある滑り止めは最初から1個足りてません。まあアリエクだからね。
左右をつなぐケーブルはTRSですね。根元に保護のためのスプリングが巻いてあってグッド。

基板とケースで片側88グラム。
お次はキースイッチ。こちらはAmazonなので一瞬で到着。パッケージである透明な筒に入れておくだけで可愛い。スイッチとしては重めのタクタイル。打鍵感の説明は口頭では難しいので、後半に打鍵音を聴いてもらいましょう。

前述のとおり、今回の基板はホットスワップ対応なので、エイっと押し込むだけでセット完了。簡単だね。じゃああと46個頑張ってね。

ふぅ…終わったよ。片手124グラムになりました。実際に使う際は、この左右をTRSケーブルでつなぎます。

キーキャップの設計はFusion360でさらっと書いていきます。
縦横の幅は18ミリ。適当に押し出して、裏をくりぬいて、中の嵌め込みパーツをデザインし、軸を本体にがっちゃんこ。後は少し側面を丸めてみたり、指触りをよくするためにくぼみを設けてみたり。ということで第1弾が完成。

さっそく印刷してみました。細すぎて割れてしまったり、指触りが悪い部分をトライエラーで直します。第4弾まで作り、ようやく納得がいくものが完成。これを46個作ります。

出来た。3時間くらいで焼きあがりました。

バラしていきましょう。最終的にキートップは完全なフラットデザインとしました。後でFとJキーにだけホームポジション確認用のぽっちをつけます。はい、じゃあ46個全部はめてください。

Corne V4 Cherryのキーマップを決めよう
今回のキーボードには足りないキーが多すぎます。じゃあどうするかというと、同時押しなど設定をしてあげる必要があります。Corne V4 CherryのキーコンフィグはVIALというアプリケーションで書き込みます。ブラウザからアクセスでき、事前準備不要!

Q.キーマップってどうやって決める?
僕の例をご紹介します。今回のキーボードはプログラミング用ではなく、ブログや動画の原稿を書く用途です。
まずは基本となるアルファベットを突っ込みます。極端に変な配列にすると既製品に戻ってこれなくなります。先駆者の皆様がやっていた右親指エンターがよさそうだったので真似します。
Tab、Shift、Ctrlを配置。僕HHKBユーザだけど、Ctrlは左下が好き。Macで使われている「かな」「英数」キーが大好きなのでそれを使います。

Macでも Windowsでも期待通りに動作してくれます。Alt、Esc、Winが欲しくなることが多いのでこれも置いておきます。「余っていた」というわけではなく、むしろ空けておいた一等地にレイヤーキーを置きます。これは同時押し専用のキー。押している間だけキーボードを裏モードに変更します。
裏モードも作っていきましょう。最上段に数字を入れます。2段目はF1、F2などを入れていきましょう。F11、F12が余ったので右端にねじ込みます。十字キーを入れて完成。

一気に全部登録すると覚えられないから、毎日1キーずつ記号を増やしていきます。
ということで、いったん動画投稿時点での完成形がこちら↓↓

まぁ、なんだかんだ言って完成です!キーキャップはお手製。FとJにはぽっちを付けました。キースイッチはKeychronのミント軸、タクタイルコトコト系。VIALで設定書き換えが可能な、左右分割40%キーボードです。

Corne V4 Cherryの打鍵音を聞いてみよう
キーボードの打鍵音はスイッチだけでなく、キーキャップや筐体そのものの構造によって変わってきます。聴いてみましょう!レコーダーさん、レコーダーさん、おいでませ!


こちらは投稿した動画のほうでぜひお聞きください!
Corne V4 Cherryの実際の使用感
さて、これを作ってみて2週間くらい遊んでるんですが、全然慣れない。
僕、普段から使っているキーボードだとまぁ比較的タイピングが速い。ところが、Corne V4 Cherryにした瞬間、信じられないほど速度が落ちる。カラムスタッカードは正確な運指であれば真価を発揮するが、僕みたいな我流のタイピングではその真価を発揮できない。

逆に言うとCORNEに慣れれば、それは「正しい運指」なんじゃないかな。
まとめ
今回は初めての自作キーボードにトライしました。
キーボードのソフトウェア的な構造、ハードウェア的な構造、流通しているパーツの理解やCAD、電子工作の知識など、幅広い理解が求められるんだね。
でもそんなことより、単純に設計や組み立てが楽しい!今後もいろいろ作りつつ、物理ボタンの楽しみ方を追いかけていくよ。

物理ボタン同好会、また深い沼の入り口に立ったようです。それでは今回はここまで。チャンネル登録、高評価お願いします。じゃあ、またね。
別なキーボードからキャップを移植して、見ながらちょっとずつ練習してます。ちょっとずつ、ね。

